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サンタ・マリア・デル・フィオーレに行ってきた

そもそも

フィレンツェ滞在記2022のスピンオフ。

フィレンツェの中心にあるサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂とその関連施設に行ってきた話。

サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂は、イタリアの晩期ゴシックまたは初期ルネサンス建築を代表する建造物で、フィレンツェのシンボルとなっている大聖堂。1296年にアルノルフォ・ディ・カンビオ(ヴェッキオ宮殿も設計)の設計で建設が始まり、建設責任者が(途中で亡くなるので)何度も交代しながら、140年近くかかってクーポラまで一旦完成した。ファサードは19世紀後半以降に完成した。

サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂

ドゥオーモ広場の様子。 duomo1

サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂の外観。巨大なクーポラ(ドーム)と幾何学模様のファサードが特徴的。 duomo2

外観に対して比較的シンプルなゴシック様式の内部身廊。「パッツィ家の陰謀」が起きた場所。 duomo4

クーポラ内部に描かれているのは、ジョルジョ・ヴァザーリの『最後の審判』。クーポラ完成から100年以上後に、コジモ1世の命によって描かれた。 duomo3

地下には、ローマ時代にこの地に建っていたサンタ・レパラータ教会の遺構。美しい孔雀のモザイク。 duomo5

クーポラ

巨大すぎて当初は建設不可能と言われていたクーポラは、フィリッポ・ブルネレスキによる二重構造にするという案によって見事に実現した。木枠を組まずにレンガを積み上げるだけで作られた世界最初で最大のクーポラだったという。そもそも技術的に不可能なほど巨大なクーポラを設計したのは、周辺のライバル都市ピサやシエナの大聖堂に負けないようにするためだった。 cupola1

というわけで、このクーポラに登ってみた(463段)。登る途中でクーポラ内部の『最後の審判』を間近に見ることができる。どうやって描いたんだ。 cupola2 cupola3

まさにブルネレスキが設計した二重構造の中を登っていく。上の方に行くほど傾斜がキツくなっていく。 cupola4

登頂成功。 cupola5

目の前にあるジョットの鐘楼。 cupola6

似たようなドームをもつ建物は、メディチ家礼拝堂。 cupola7

街並みを一望。ヴェッキオ宮殿が見える。屋根の色が全部同じ。 cupola8

ジョットの鐘楼

前述の通り大聖堂の建設責任者が途中で何度も代わっており、そのうちの一人ジョット・ディ・ボンドーネが設計したのがこの鐘楼だった。しかし建設開始から4年後に完成を見ることなく亡くなってしまったため、弟子や他の建築家たちによって完成した。 giotto1

というわけで、この鐘楼にも登ってみた(414段)。大聖堂のクーポラの全体を間近に見ることができる唯一の場所。最頂部の球と十字架はアンドレア・デル・ヴェロッキオ(と弟子のレオナルド・ダ・ヴィンチ)によって制作された。 giotto2

絶景。てか天気良すぎた。 giotto3

サン・ジョヴァンニ洗礼堂

フィレンツェの守護聖人サン・ジョヴァンニ(洗礼者ヨハネ)に捧げられたフィレンツェロマネスク様式の八角形の礼拝堂。大聖堂の関連施設の中では最も古く11世紀に建設された。ダンテもここで洗礼を受けたとされる。

ジョットの鐘楼から見たサン・ジョヴァンニ洗礼堂。理性的な幾何学模様が特徴的。 san_giovanni1

洗礼堂の北・南・東に華麗な装飾が施された扉があるが、いずれもレプリカで、オリジナルは後述する大聖堂付属博物館に展示されている(詳しくは後述)。 san_giovanni2

内部の様子。幾何学模様に彩られた壁と、金色の壮大なモザイク画に覆われる天井。 san_giovanni3

13世紀に描かれた天井のモザイク画には巨大なキリストが鎮座する。 san_giovanni4

大聖堂付属博物館

大聖堂の東側の目立たない所にある付属博物館。大聖堂や関連施設に設置されていたオリジナルの彫刻などを展示している。

サン・ジョヴァンニ洗礼堂の南扉。アンドレア・ピサーノ作。洗礼堂の扉のうち最初に制作された扉。 museo3

サン・ジョヴァンニ洗礼堂の北扉。ロレンツォ・ギベルティ作。東扉(当初は東扉だったが後に「天国の門」と位置を入れ替えた)の制作者を決めるためのコンペが開催され、ギベルティとブルネレスキが最後まで残ったが最終的にはギベルティが選ばれた。コンペで提出された二人の作品「イサクの犠牲」はフィレンツェのバルジェロ美術館に現在も展示されている。落選にショックを受けたブルネレスキは彫刻よりも建築に専念するようになり、それが後に大聖堂のクーポラ建設に結実することになる。めでたしめでたし。 museo1

サン・ジョヴァンニ洗礼堂の東扉。「天国の門」とも呼ばれる。ギベルティ作。南扉や北扉に比べるとパネルの数を少なくし、それを補うために浅浮き彫りを用いて遠近感をもたせることによって1つのパネルに複数の物語を盛り込むという高度な手法をとった。この扉を見たミケランジェロがあまりの美しさに「天国の門」と賞賛したと言われる(真偽は不明)。 museo2

ミケランジェロ『バンディーニのピエタ』。ミケランジェロが生涯に制作した数少ないピエタのうちの一つで未完成に終わった。 museo4

ブルネレスキのデスマスク。 museo5

ブルネレスキが制作した、クーポラの木製模型。 museo6

ブルネレスキが制作した、クーポラの最頂部に設置するランタンの木製模型。 museo7

サン・ジョヴァンニ洗礼堂の銀の祭壇。 museo8

感想

万能の天才が同時代・同空間に集結しすぎてる。

参考書籍

チェーザレ 破壊の創造者

美しいフィレンツェとトスカーナの小さな街へ

西洋美術史入門

世界のビジネスエリートが身につける教養「西洋美術史」

ルネサンスとは何であったのか―塩野七生ルネサンス著作集1―

ルネサンス 歴史と芸術の物語

イラストで読む ルネサンスの巨匠たち

ヤマザキマリの偏愛ルネサンス美術論

「イタリア」誕生の物語

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#ヨーロッパ#イタリア#教会#博物館