文法を学ぶとは

文法とは実際の言語使用を言語学者らが分析しそこから抽出したパターンや意味、用法を記述したものです。 そのため、単語と同様に文法を実際の言語使用からあまりに独立した形で学習することは、言語の本質からも外れますし、長期的には効果的ではありません。文法を学ぶことで、その言語の世界の捉え方や考え方を理解することができるようになります。

文法を学ぶことについてもう少し具体的に考えてみます。

例えば、ある文を聞いて「〇〇が〇〇をしたが、〇〇だった。」というように単語と単語の関係性のみを理解できている(個々の単語の意味は分からない)場合と、「田中さん 公園 買う」というように個々の単語のみを理解できている場合、どちらのほうがより正確に文を理解できていると言えるでしょうか。

答えは一つではありません。

前者の場合は、文の全体構造は理解しているので、大きな意味の誤解は生じにくく、また何がわかっていて、何がわかっていないのかがより明確に自覚できます。

後者の場合は、聞こえた単語を自分の頭の中で都合よく繋げて理解するしかないため、往々にして誤解が生じたりすることが少なくありません。

この前者のように「〇〇が〇〇をしたが、〇〇だった。」と理解できるようになることがいわゆる文法と呼ばれる部分で、後者は個々の単語を理解している状態になります。 文法をおろそかにすると、後者のように聞き取った単語をもとに恣意的に文を解釈することしかできず、正確な理解ができるようにはなりません。 いわゆるブロークンスピーカーと言われる状態が、その典型的な例です。

また、母語話者を目指す必要はありませんが、知っている単語数以上に母語話者との差を感じるのが、この文法的な正確さの部分です。 そのため、学習言語を正確に聞き取り、正確に話したいのであれば、文法学習は避けて通ることはできません。

grammar1

言語学者が、実際の言語使用から法則や規則を見つけて、論理的に理解しやすいように説明してくれたものが、今我々がその利益を享受している文法です。 母語話者の子どもたちは、大量のインプットからこの文法的な感覚を自然に身につけますが、大人になるとそれがなかなかできません。 しかし、先人が記述してくれたこの文法という理論のおかげで、我々は、何百万ものインプットを得ることなく、その感覚を学ぶことができるのです。 すなわち文法学習は大人の言語習得を大幅に加速する武器と言えます。


関連