コルドバ滞在記2022
そもそも
2022年8月にコルドバに滞在した時の様子。
コルドバはローマ帝国時代の哲学者セネカや12世紀に活躍した哲学者イブン・ルシュドの出身地として知られるアンダルシア州の内陸都市。人口は35万人弱。ローマ帝国時代には属州ヒスパニア・バエティカの州都となり、イベリア半島におけるローマ文化の中心都市として繁栄した。756年にアブド・アッラフマーン1世が建国した後ウマイヤ朝の首都となり、10世紀にはアブド・アッラフマーン3世の下で西方イスラーム文化の中心地として繁栄した。13世紀にレコンキスタによってキリスト教勢力に支配された。メスキータやローマ橋、ユダヤ人街などが「コルドバ歴史地区」として世界遺産に登録されている。
コルドバへ
グラナダから列車に乗ってコルドバへ。車窓はおなじみのオリーブ畑。
コルドバ駅に到着。シンプルで機能的で美しい。
とりあえず荷物を置きに宿泊地へ。
ビクトリア市場
道中にあったビクトリア市場に寄り道して昼食をとることに。時刻は13時頃。
La Salmoretecaにて、トルティージャ(スペイン風オムレツ)をいただく。
めちゃくちゃ美味しかった。
セネカ先生
我が師匠セネカ先生にご挨拶。セネカ先生はコルドバ出身のストア派哲学者で、多数の偉大な著作を残した。ローマ帝国第5代皇帝ネロの幼少期の家庭教師および治世初期の相談役を務めたことでも知られる。
城壁
中世の時代から旧市街を囲む城壁とアルモドバル門。
旧ユダヤ人街
アルモドバル門を抜けるとそこは旧ユダヤ人街。10-15世紀にユダヤ人が居住していたメスキータの北側一帯の地区で、白壁の住居に挟まれた細い路地が迷路のように入り組んでいる。
宿泊地に荷物を置き、いざ散策開始。我々はなぜこういう路地に心惹かれるのか。
コレデラ広場。17世紀に建設された広場。マドリードのマヨール広場にかなり類似している。ていうかゾンビ映画ぐらい街中に人がいないのはなぜだ。
コリント式の柱が立ち並ぶ帝政ローマ時代に遡る神殿の跡。
18世紀に新古典主義様式で建設されたサンタ・ヴィクトリア教会。
日除けが連なる通り。
アンダルシアらしい模様の陶器が並ぶLUQUE gastrotiendaというお店。地元のワインや陶器を販売している。
風情溢れるベラスケス・ボスコ通り。
カジェハ・デ・ラス・フローレス(花の小道)。
カジェハ・デル・パニュエロ(ハンカチの小道)。ハンカチの幅ぐらい細い路地。
アルカサル。14世紀にスペイン王宮として建設された城塞。なぜか閉鎖中だった。
エンメディオ通り。人間生存してる?
11世紀の法学者・神学者・哲学者イブン・ハズムの像。
メスキータ
6世紀に西ゴート族が建てた聖ビセンテ教会の跡地に、8世紀後ウマイヤ朝時代にアブド・アッラフマーン1世のもとでメスキータ(スペイン語でモスク)の建設が開始され、その後約200年間増改築が重ねられた。13世紀にレコンキスタによってコルドバを支配したキリスト教徒がメスキータをキリスト教の教会として転用した。16世紀カルロス1世のもとでメスキータの中央に本格的な礼拝堂が増築され、二つの異なる宗教建築が融合した世にもユニークな建造物が完成した。教会としてはコルドバの司教座聖堂である聖マリア大聖堂。
メスキータの外から眺めた鐘塔。モスクのミナレットとして建設され、後にキリスト教徒によって鐘が設置された。メスキータの中庭には四方にある出入口から自由に出入りできる。
オレンジの木が立ち並ぶ、その名もオレンジの中庭。
中庭を囲む回廊。
いざ内部へ。
イスラーム教徒が祈りを捧げる間。白色とテラコッタ色で彩られた馬蹄形の二重アーチと、それを支える柱が林立する神秘的な空間。柱の数は800本以上で、柱の多くはローマ時代の神殿など他の建造物から移築されたものだという。
床にあるガラス張りの部分からは聖ビセンテ教会の遺構が見える。
天井装飾やバラ窓やステンドグラスなど、キリスト教建築の要素が混在している。
ミフラーブ(メッカの方角を示す窪み)とマクスーラの天井を飾る八角形のドーム。
ガラス越しに眺めるサグラリオ礼拝堂。内部装飾がやたら豪華。
どどーん。
様々な様式が調和した主祭壇。赤茶色っぽい部分には色付き大理石が使用されている。
ここだけ見たらモスクの中にあるとは思えない。
クワイヤの彫刻装飾もかっこよすぎる。
なんとも不思議な感覚を味わえて非常に楽しかった。
ローマ橋
旧市街とローマ橋を結ぶ門。
メスキータの南側を流れるグアダルキビル川に架かるローマ橋。ローマ帝国時代に最初の橋が建設され、8世紀イスラーム支配時代に大幅に再建され、その後も増改築が重ねられてきた。
周囲には近代的な建物がほぼ見当たらず、思う存分歴史に思いを馳せることができる。
カラオラの塔
旧市街からローマ橋を渡った先に位置する要塞。12世紀末ムワッヒド朝時代に外敵の侵入を防ぐために建設され、レコンキスタ後の14世紀に現在見られる姿に改築された。内部はかつてのアンダルシアの生活を伝える博物館になっており、屋上からはコルドバの街を望む絶景を楽しめる。
10-11世紀にコルドバ出身の外科医アブー・アル=カースィム・アッ=ザフラウィー(西洋では通称アブルカシス)が開発したとされる外科手術用の医療器具。医療器具の詳細は彼が著した医学書『解剖の書』に記述されている。
旧市街ではない街の景色。これがアンダルシアの割と典型的な景色。
スペインのイメージをちょっと補正する必要がある。
ででーん。
最後の晩餐
Casa Pedro Ximénezにて、夕食をとる。
タコとエビのポテトサラダ。美味しすぎた。
フラメンキンと付け合わせのポテト。フラメンキンは豚の薄切り肉に生ハムを挟んで巻いて揚げたアンダルシアの名物料理。店名にあるペドロ・ヒメネスのシェリー酒ともにいただく。贅沢すぎた。大大大満足。
最初から最後まで晴天と美食と美酒に恵まれたアンダルシア滞在だった。また来るぞ。